「家でずっと動いてる」と知っていた|モラハラに気づくまで Vol.17

モラハラ

「家でずっと動いてる」

元夫が友人に、私のことをそう話していた。下の子が、まだ保育園児、上の子は小学校低学年ぐらいで、子どもたちに、まだまだ手がかかる頃だったと思う。

私は、その言葉を聞いて、「そうだよね」と思ったと同時に、「知っているんだ?」と、ザワザワした気持ちになったことを覚えている。それは、私にとって気持ちのよい言葉ではなかった。

実際私は、家でずっと動いている生活を送っていた。早朝のアラームとともに飛び起き、食事の支度をして、洗濯をする。子どもたちにご飯を食べさせ、身支度をさせて、保育園へ送り、仕事へ行く。仕事が終われば、子どもたちを迎えに行く。

帰宅すれば、洗濯物を取り込み、畳み、夕食の準備をして、食べさせて片付ける。それから、子どもたちのお風呂や明日の準備をする。

たまには食材の買い出しにスーパーへ寄る。子どもたちに通院の必要があれば、仕事帰りに病院へ連れて行く。

毎日、やることはいくらでもあった。一日のスケジュールを計算して乗り切らなければ、時間が足りなくなる。

計算していても、子どもたちの体調や機嫌によって、スケジュールなんて一瞬で崩れる。それが私の日常だった。

だから、元夫に「家でずっと動いてる」と言われても、「まあ、そうだよね。座る暇もないぐらい動き続けている」と思ったと同時に、「分かっていたんだ」と、少しモヤモヤと違和感を感じたと思う。

分かっていたのに、なぜ?

「ずっと動いてるよね」という言葉を聞いたとき、元夫が少し離れた立ち位置から見て話しているように感じた。

よく言えば俯瞰して見えているが、家庭を共同で運営するという当事者意識はない。

私が大変なことは分かっている。そこに父親や配偶者として、その大変さを分かち合うという意識はなかった。

妻だから。母親だから。「ずっと動いていて当たり前」そんな前提が働いていたのではないかと思う。

もちろん、元夫自身がそこまで自覚していたのかは分からない。ただ、これまで書いてきた出来事を振り返ると、そう感じる。

私は、そこにある歪んだ構造に気づくことなく、一人で踏ん張り続けた。

それでも、母親だから、そういう生活になるものだと思っていた。周りの人にも助けてもらいながら、とにかく毎日を回していた。

前の記事にも書いたように、義母に預かってもらったり、職場の人、ママ友に助けてもらったり、実家に頼ったり。

いろんな人の力を借りながら、それでも家の中では私が動き続けていた。

当時の私には、深掘りする余白がなかった

「分かっているんだ」という胸のザワザワを抱えながらも、なぜ嫌だと感じたのかを立ち止まって考える余裕は、当時の私にはなかった。

今の私ならどうだろう。小さな違和感をスルーせず、これまでの出来事と照らし合わせながら、その正体を突き詰めていくことができる。

「私がずっと動いていることを分かっているのに、なぜ自分はそこに入ってこないのだろう」

内省し深掘りしながら、そのザワザワした気持ちの答え合わせをする。

  • 「家庭を共同で運営する当事者意識の欠如」
  • 「家事・育児は母親の仕事という決めつけ」
  • 「古い価値観をアップデートできない感覚」
  • 「大変そうな姿を見ても手助けすらしない、思いやりの欠如」

今の私なら、ここまで毒を吐くかもしれない。

これまでの積み重ねを考えれば、ここまで伝えたところで、何かが変わることはなかったと思う。散々文句も言ってきたし、愚痴も吐いた。それでも受け取らず、「文句が多い」と言われるだけかもしれない。

そんな伝え方をすれば大喧嘩になり、罵倒されるかもしれない。離婚一直線になったかもしれない。

その時点で離婚して、シングルマザーになっていたかもしれない。シングルマザーとして全く違う人生を歩んでいたかもしれない。

そこまで毒を吐かなかったとしても、伝えたという事実が、自分の中で何かを変えるきっかけになったかもしれない。

当時の私には、そこまで考えることができなかった。

毎日のタスクをこなすことだけに脳のリソースを使っていた。目の前のことを一つずつ片付けていくことで精一杯で、その違和感について考える余裕がなかった。

だから、あの時の「分かっているんだ?」というザワザワ感も、そのまま見過ごしてしまった。

四半世紀以上経った今、このブログを書くために過去の出来事を一つひとつ振り返る中で、あの小さな違和感の意味がようやく見えてきた。

あの頃は見えなかったことが、時を経て経験を重ねた今だから見える。

様々な出来事や、些細な言葉の数々を振り返るほど、当時の生活の中に「夫という存在がいなかった」という現実が、痛いほど明白になっていく。

あの時の違和感は、気のせいではなかった。私が感じていたザワザワには、ちゃんと理由があった。

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