私の時間は、誰のものだったのか|モラハラに気づくまで Vol.14

モラハラ

転職して最初に頼まれたこと

元夫が転職したあと、「弁当を作ってほしい」と言われた。その頃の朝は、とにかく慌ただしかった。

「こんな時に、この人は何を言っているんだ?」それが、最初に頭に浮かんだ言葉だった。

下の子は保育園へ送り、上の子は小学校へ送り出す。朝食の準備をして、自分も出勤する。夕食の下ごしらえも、できるところまでは朝のうちに済ませていた。それに加え、洗濯や細々とした家事もある。

そんな朝の慌ただしさなど関係ないと言わんばかりに、元夫は自分の支度だけをして出勤する人だった。

朝の慌ただしさに加わることはなく、自分のペースだけを崩さない。出勤の30分前に起きて、私の慌しさは、どこ吹く風と言わんばかりに、自分の身支度だけをして、そそくさと出勤していく。

私は、出勤の3時間前に起きるのがいつものルーティンだった。朝の数時間は戦争だった。

そんな毎日に、お弁当作りが加わる。

「朝は時間がないからできない」そう伝えたが、押し問答の末、私が折れた。

「ああ、またさらに早起きしなければならない」正直、うんざりしていた。

それでも数か月の間、私は毎朝お弁当を作り続けた。

私にも限界がある

数か月続けるうちに、体力的にも時間的にも限界がきた。

「朝は時間もないし、体力的にも厳しい。お弁当を作り続けるのは無理。社員食堂で食べてくれない?」

そう伝えると、

「社員食堂は遠いから、昼休みの時間が少なくなる」と返ってきた。

「そうは言われても、自分で何とかしてほしい。」

「あなたのお弁当を作るために、私はもっと早起きしなければいけない。朝食もあるし、子どもたちの支度もあるし、夕食の下ごしらえもある」

「私が疲れるとか、時間がなくて大変だとは思わないの?」私は穏やかに伝えたつもりだった。

「それでも作らないとダメだろ?」、元夫の発した言葉だった。

「え? この人、何を言っているの?」、思わず、心の中でつぶやいた。

「あなたが昼休憩をゆっくり過ごすために、私が時間と体力を削れ、ということだね?」

「そう。そういうこと」

この人とは、何を話しても通じないのかもしれない。もう伝えるのはやめよう。そう思った。

私にも時間がある。私にも体力の限界がある。

それを説明しているのに、それでも自分がゆっくり昼休みを過ごしたいから、お弁当を作れと言う。

私は、この人にとって一人の人間ではなく、家事をする人、家事のできるロボットとしてしか見られていないんだと悟った。ロボットなら疲れないから。

家事をする人にも、その後仕事へ行き、一日働く生活がある。その当たり前のことすら、この人には想像できないんだと思った。

次の日から、私はお弁当を作ることをやめた。

私が伝えたかったこと

お弁当を作らなくなって数日後、私は、

「転職する前の一年間、私の扶養に入って勉強していたよね。私は支えたつもりだけど?」

本当は、こんな恩着せがましいことは言いたくなかった。返ってきたのは、

「働いてなくても、給付金とかもらってるじゃん」という言葉だった。

給付金を受け取っていたのだから、私に養われていたわけではない。そんな意味だったのだと思う。

私は、「給付金をもらっていたとしても、一家を支えられるほどの金額ではないよね」と返した。

さらに、「そっちだって、育休とかで休んでるでしょ?」と、言われた。

その言葉を聞いて、私は言葉を失った。そうか。

私が育児休業を取ったことは、子どもを育てるためではなく、「私が自分の都合で休んでいた」としか思っていたんだね。

なるほどね!そういう解釈だったんだね。改めて認識した。

私は、お金の話がしたかったわけではない。支えてもらった。支えた。困ったときは、お互い様。そんな当たり前の気持ちがあるのか、それを知りたかっただけだった。

結局、その思いが届くことはなかった。

この人は、私が疲れることも、時間を失うことも、当たり前だと思っているのかもしれない。

ものすごく昔のことだけど、あの「そう。そういうこと」という返事だけは、どうしても忘れることはできない。

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