自分で思うように話して」心の準備のないまま始まった離婚調停|離婚調停体験談 Vol.2

自分で思うように話して、アイキャッチ 離婚調停

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顔の見えない調停委員

「初めまして、調停委員の○○です」スピーカーフォンから男女2人の声が響く。顔が見えないので声でしか判断できないが、男性の調停委員は60代以降、女性の調停委員は40〜50代だろう。

調停委員は、男女の2人組で担当する決まりらしく、裁判所の常勤職員ではなく、非常勤職員で、社会経験豊富な民間人から選ばれるそう。こんな人生の大事な場面を顔の見えない相手と話し合うのか?すごく話しづらい。

相手の表情や雰囲気が分からない、言葉を発していない時の様子も窺えない。

それなのに、スピーカーフォン特有の声の響きで聞き取りにくく、余計なところにエネルギーを奪われる。ビルの外の車のエンジン音や様々な雑音が聞こえてくる。ヘッドフォンもないので雑音も遮断できないし、電話の向こう側の相手の声も響いて聞き取りづらい。コロナ禍を機にオンライン会議が当たり前になった世の中で、この昭和すぎる方法が無駄なストレスを発生させる。

調停委員の挨拶に続き、私と隣に座る私の弁護士も挨拶をした。

元夫側が話している30分間

調停は申し立てた側から先に話を聞くルールになっているらしく、今回は元夫側が先に話す。相手が話している30分間、こちらはただただ待つしかない。「向こうは弁護士が話しているんだろうな‥」「普通はプロが話してくれるよね?」そんな疑問が頭をよぎる。元夫の弁護士とは、会ったことも話したこともないが、どんな弁護士か知りたくて、その弁護士事務所のホームページは度々チェックしている。

今回の離婚調停、その前の財産開示請求、いずれも仕掛けてきたのは元夫とその弁護士。それなのに、私への財産開示請求ばかりを執拗に求めてくる。その張本人である元夫は一向に自分の財産を開示しない。言っていることがおかしい、おかしすぎるでしょ?って思うのは私だけじゃないはず。

依頼人の指示なのか、それとも戦略なのか分からないが、書面の書き方や伝え方が、「自分さえ良ければ相手のことはどうでもいい」という傲慢さが透けて見える。なんで会ったこともないそんな人にあれこれと書かれなければならないのか?私はこういう人種が苦手。たとえ職業とはいえ、他人の恨みを買ってしまい負のカルマを背負い続けるのね?残念なお方ですこと?

理不尽な状況のなか、そんな風に心の中で毒づくことで、私はかろうじて自分の冷静さを保とうとしていたのかもしれない。

「離婚理由」を聞かれる必要がある?

30分が経過し、ついに私の番が回ってきた。調停委員からの質問は、「なぜ、離婚したいのですか?」え、そこ?その話?今更、離婚理由を聞いてどうする?と戸惑いつつ、なんの心の準備もないまま、電話機に向かって話し始めた。

元夫が一番最初に送ってきた書面には、はっきりと「離婚の意思がある」と書かれていた。私も離婚を望んでいる。離婚すること自体は、お互い了承済みだと思っていた。

元夫が問題にしているのは財産分与。それなのに、今さら離婚理由を聞いてどうする?そんなことすっ飛ばして、財産分与の話をするものだと思っていたので、少し拍子抜けした感じだった。

そんな話をしている時間がもったいなくない?とは思いつつ、長年にわたる家庭内別居の末、私が無断で家を逃げ出さざるを得なかったこと。フルタイムで共働きだったにも関わらず、家事育児いっさいに協力せず、母子家庭同様で一人で頑張ってきたこと。生活費を渡されていなかったこと。私が積み立てた学資保険の残額92万円が入った通帳を無断で解約され、自分の懐に入れたままのこと。モラハラが酷かったことなどなど。

思いが溢れ、気づけば感情的に、まくし立てるように話してしまった。

今振り返ると、準備しておけば良かったこと

後からネットで調べて知ったことだが、「調停では絶対に感情的になってはいけない、調停委員からの心象が悪くなる」ということらしい。調停委員の心象をよくすること、調停委員を味方につけることが勝つための秘訣、そんなことを後から知った。というか調停委員の心象によって結果が変わるってなんなんだろう。その情報は本当かどうか分からない。調停委員というその人たちは、法律のプロでもなければ何かの専門家でもない。専門的なスキルを持つ人が相手ならそういった情報の信憑性も上がるが、調停委員には特定の資格や基準があるわけではなく人によってバラバラだと思うので、未だにその情報は謎。

私の弁護士は隣に座っている。調停当日もそうだったが、口数が少なく積極的に話すタイプではない。こちらが聞いたことに対して、返答をしてくれることもあるが、自ら発言するタイプではない。そのため、そんな基本的なアドバイスをしてくれる人はいなかった。今更、知ったところで放った言葉は戻らない。もし当時の私に、ひとつだけアドバイスできるなら、「思いを全部話そうとしなくていい。まずは事実を整理して伝えよう」そう伝えたい。あの時の私は、調停で何を話すべきかではなく、これまで抱えてきた思いを全て伝えなければいけないと思っていた。

長年の不満も、苦しかった出来事も、理解してほしかった気持ちも、全部聞いてもらわなければ前に進めないと思っていた。けれど調停は、気持ちを吐き出す場所ではなく、問題を整理して解決へ向かうための場所だった。そんなことすら分からないまま、私は第一回離婚調停に臨んでいたのである。

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