「10万円まで狙われると思った」住民票を移して給付金を守った日|離婚調停体験談 Vol.35

離婚調停

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コロナ給付金まで財産分与?

離婚届を提出した頃のことを書いていて、あまりにも馬鹿げていて忘れかけていた出来事を思い出した。

それは、コロナ給付金について、元夫から意味の分からない主張をされたこと。

「私の口座に、妻の給付金が振り込まれていない」「どういうことか説明しろ」「その通帳を見せろ」

さらに、コロナ給付金も財産分与の対象だと主張された。

2020年当時、一人10万円の特別定額給付金が支給されることになった。一人ずつ支給されるのに、なぜか世帯主の口座へ家族全員分がまとめて振り込まれる仕組みだった。

つまり、世帯主である元夫の口座へ、私の分10万円も振り込まれてしまう。それでは、私には渡されないと思った。

そのため、私は10万円を守るための策を考えなくてはいけなかった。

住民票を移した

政府は、DVなどを理由に避難している人を対象に、世帯主とは別に給付金を受け取れる制度を設けていたが、私はその対象ではなかった。となると、自分で対策を講じるしかない。

「世帯主に一括振込」という仕組み自体が、色々な物議が巻き起こったことを覚えている。その物議から急遽の対応策だったが、かなり限定的に思えた。

私にとって、手っ取り早い方法が、住民票を移すことだった。どのみち住民票を移すのだから、住民票を期日までに移せば、自分の口座で給付金を受け取ることができる。

すでに引越し先は決まっていので、新居に住民票を移そうと思ったが、新居のアパートはまだ建築中だった。コロナの影響で建築資材が入らず、完成が大幅に遅れていた。役所へ確認したが、まだ建築中の新居へ住民票を移すことはできないと言われた。

とにかく住民票をどこかへ移さなくてはいけないので、緊急策として、実家へ住民票を移した。

その結果、給付金を自分の口座で受け取ることができた。

この「世帯主一括振込」という仕組みは、国民全員へ迅速に給付するための実務上、仕方のない方法だったのだと思う。その一方で、本来は個人に支給される給付金なのに、自分の意思で受け取れなかった人も少なくなかったのではないだろうか。

私自身、この制度の狭間で揺れた一人だった。

「世帯主に一括」という考え方に触れたとき、歴史の教科書で習った家長制度を思い出さずにはいられなかった。

「どういうことか説明しろ」

調停で、元夫に「どういうことか説明しろ」と冒頭のように主張されたので、私は反論書面に書いた。

私が積み立てた学資保険の残金92万円を、元夫に盗まれたまま返してもらえていない。そういう人だからこそ、自分の給付金を守るために先に住民票を移したのだと。私の反論書面には、「盗む人だから信用できません」と書いた。その文言について、調停委員から注意を受けた。

「ご主人のことを、盗む人だなんて書いてはいけません」

実際に盗まれているし、返金を求めても無視されている。注意するところはそこなの?

私に注意する前に、財産目録を提出しない元夫へ、もっと強く注意するべきではないのか?そちらの方が、よほど問題ではないのか。調停委員の指摘に違和感を覚えずにはいられなかった。

結局、元夫が何を主張したかったのかは、よく分からなかった。

私の10万円が自分の口座に入っていないことが気に入らなかったのか。私がお金をどこかへ隠していると思ったのか。それとも、別の意図があったのか。

このあとも意味不明な主張が繰り返されたので、この主張は曖昧なままだった。結局、無駄な時間を費やしただけだった。

自分を守ることと復讐のはざまで

私が住民票を移したのは、10万円を絶対に渡したくなかったから。

個人に支給された給付金を元夫に渡してしまったら、さらに支配の構図が強まるような気がしてならなかった。それまで支配されてきた生活の中で、この10万円だけは自分の手で守りたかった。

実際に、10万円を自分の口座で受け取ることができたとき、自分の尊厳と権利が守られたような気がした。

自分の尊厳を守りたかった。それと同時に、それまで散々傷つけられてきた分、元夫に対する復讐心があったことも否定できない。

今振り返ると、あの時の私は、自分を守りたかっただけではなかったのだと思う。

いずれにしても、あの時、素早く動いて本当に良かった。あの10万円以上に、自分の尊厳と権利を守れたことが、本当に嬉しかった。

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